浴衣を着て一歩外に出た瞬間、じりじりと照りつける日差しに「しまった、日傘忘れた」と思った経験、ありませんか。いろはも去年の夏祭り、それで半分泣きそうになりました。実はこれ、日傘や扇子、かごバッグって何となく選んでしまいがちなんですが、素材や格によって効果も見た目の印象もけっこう違うんです。今日は夏の着物小物、迷いやすいポイントをぎゅっとまとめてみますね。

結論から。日傘は「素材」、扇子は「格」、かごバッグは「時期」で選ぶ

細かい話をする前に、いちばん大事なところだけ先にお伝えします。日傘は素材そのものでUVカット力が決まる、扇子は着物の格に合わせて選ぶ、かごバッグは季節の目安を知っておく。この3つの軸さえ覚えておけば、お店で悩む時間がぐっと短くなりますよ。順番に見ていきましょう。

日傘:素材で効果がこんなに違うんです

日傘というと「UVカット加工」がついているかどうかを見る方が多いと思うんですが、実はそれだけじゃないんです。素材そのものではポリエステルが最もUVカット効果が高く、ナイロン・綿・絹は紫外線を通しやすいためUVカット加工が必要とされています。透明のビニール傘にもある程度UVカット効果があるというのは、ちょっと意外な豆知識ですよね。

ポリエステルは耐久性が高く水にも強い一方、綿や麻は通気性が良いという特徴があります。着物姿だと汗をかきやすいので、いろは的には「涼しさを取るか、UVカット力を優先するか」で選び分けるのがおすすめです。

ここで一つ、覚えておいてほしいことがあります。UVカット加工タイプの日傘は、使っているうちにコーティングが取れて効果が落ちていくということ。日傘にはUVカット素材そのものの傘と、後からUVカット成分を吹き付けた「加工タイプ」の傘の2種類があり、加工タイプは経年で効果が落ちる傾向があるとされています。何年も同じ日傘を使っている方は、そろそろ買い替えどきかもしれません。

扇子・末広:格が合っているか、ここだけの話いちばん迷うポイントです

浴衣や夏着物にちょこっと添えるだけで涼しげな扇子ですが、実は着物の格によって合わせ方が変わってきます。ここだけの話、これがいちばん迷うポイントなんです。

フォーマルな場面で使う「末広(すえひろ)」——祝儀の場で用いる扇子のことです——について見てみると、既婚女性の第一礼装である留袖には金または銀の地紙を貼った末広を合わせるのが一般的で、骨組みは黒塗りが最も格が高いとされています。一方で、日常使いの「お洒落扇子」は訪問着・付け下げ・色無地などフォーマル過ぎない着物に合わせるのが一般的で、小紋以下の着物には格が合わないため用いない方が無難とされています。

骨の色にも意味があって、白骨の末広は格下扱いとされ、五つ紋の色留袖など第一礼装と同格の場では避けた方が無難とされる一方、三つ紋以下の色留袖・訪問着・振袖・色無地紋付では黒骨・白骨いずれも良いとされています。大丈夫、覚えるのは2つだけ。「フォーマルな場は末広、普段のお出かけはお洒落扇子」、これだけ押さえておけば迷いません。

かごバッグ:涼しげだけど時期の目安があります

浴衣にかごバッグの組み合わせ、見た目も涼しくて夏らしいですよね。ただ、季節の目安があることも知っておくと安心です。かごバッグは夏のイメージが強く、目安として4月頃から9月中旬頃まで使う人が多いとされていますが、気候や気分に応じて幅を持たせる考え方も紹介されています。また多くの人が4月〜10月ごろを違和感なく使える季節と考えているという調査結果もあり、9月中旬か10月かで少し幅があるところは面白いですね。厳密な決まりというより、その年の気候を見ながら判断する方が実情に近そうです。

暑さ対策としての日傘の役割も忘れずに

ここまで着こなしの話をしてきましたが、そもそも夏の外出で日傘を持つ理由は暑さ対策でもあります。日中に浴衣で外出する際は日傘で直射日光を防ぐことで熱中症のリスクを下げられるとされています。断定はできませんが、リスクを下げる工夫としては覚えておいて損はないはずです。

そもそも浴衣を着る時期そのものについても、月で区切るより気温で考える方が合理的とされ、暑い時は無理をせず、熱中症で救急搬送されるようなことは避けたいという注意喚起がなされています。かわいい浴衣姿を楽しむためにも、暑い日は無理をしない選択も大切にしてほしいなといろはは思います。汗対策まで含めて詳しく知りたい方は、浴衣・夏着物の汗対策|着る前・着ている間・脱いだ後のお手入れをやさしく整理も参考にしてみてください。


まず扇子から一つ、と考えている方は、竹骨のものと扇子袋がそろった品を見てみるとよいでしょう。記事で整理した「涼をとる道具でもあり、装いの一部でもある」という選び方に沿って選べます。


まとめ

日傘は素材でUVカット力が変わり、加工タイプは経年で効果が落ちていくこと。扇子はフォーマルな場では末広、普段のお出かけではお洒落扇子と、格に合わせて選ぶこと。かごバッグは4月から9月中旬、あるいは10月ごろまでを目安に、気候を見ながら使うこと。この3つを覚えておけば、夏のお出かけ前に小物で迷う時間がぐっと減るはずです。夏祭りに出かける予定がある方は、盆踊りと浴衣——夏祭りの装いにひもとく、小さな物語もあわせて読んでみてくださいね。今年の夏も、涼しい顔で着物を楽しみましょう。