売り場で「足袋、ちょっときつくないですか?」と聞かれてはじめて、サイズをあまり気にしていなかったことに気づいた——そんな経験、ありませんか。けっこう多い失敗です。靴と同じ感覚で選んでしまうと、歩いているうちに指が痛くなったり、逆にかかとがぱかぱか浮いてしまったり。足袋は着物の足元を支える大事な存在なのに、意外と後回しにされがちなんですよね。今日は足袋選びで迷いやすいポイントを、ひとつずつ整理していきましょう。

足袋のサイズはどう測る?普段の靴サイズとの違い

足袋は底・内甲・外甲というパーツを組み合わせて作られています。ソックスのような伸縮性はほとんどありません。だからサイズが合っていないと、縫い目が足に当たって履き心地に響いてしまうんです。普段履いている靴のサイズをそのまま当てはめると、実は合わないことが多いので注意してみてください。

目安になるのは「かかとも指もすべて収まっている状態」かどうかです。かかとを合わせたときにつま先が出てしまう、あるいは全く余裕がない場合は小さすぎのサイン。反対に、指の先に0.5cm以上の余裕があると大きすぎです。大きいほうが楽そうに感じるかもしれませんが、実はぶかぶかも歩きにくさの原因になるんです。初心者だといちばん悩みやすいポイントなので、試着できるお店ではぜひ実際に履いて確かめてみてください。

もうひとつ、サイズ表示の隣にある「こはぜ4枚」「5枚」の数字も見ておきましょう。こはぜは足袋の履き口についている薄い金具で、対になっている掛け糸に引っかけて留めます。縦に並ぶので、枚数が多いほど足首を覆う丈が長くなり、1枚で2cmほど変わります。ふだん使いなら4枚、礼装やあらたまった席では足首を見せない5枚が選ばれることが多い、というのが目安です。ただし決まりというほどのものではなく、関西では5枚、関東では4枚が好まれるといった土地の習慣や、履き心地で選んでよいもの。正座の時間が長い日は、足首まわりが楽な4枚のほうが向く人もいます。

素材で選ぶ キャラコ・ブロード・ストレッチの違い

サイズが決まったら、次は素材です。足袋の生地には大きく分けて綿キャラコ、綿ブロード、ストレッチ系の3つがあります。それぞれ得意な場面がちがうので、ここを知っておくとぐっと選びやすくなりますよ。

綿キャラコは経糸と緯糸がほぼ同じ比率で織られた平織りの生地で、織り目が細かく美しいのが特徴です。薄手で軽く、光沢感がなく上品な白さに仕上がるため、フォーマルな席では白の綿キャラコが正式とされています。摩擦で着物を傷めにくいところも、礼装向きといわれる理由のひとつです。

綿ブロードは経糸が緯糸より多い織り方で、横方向によく伸びます。柔らかくシワがよりにくいので、長時間の着用や立ったり座ったりが多い日に向いています。ただしキャラコに比べると織り目がやや目立ち、光沢も出やすいため、落ち着いた雰囲気ではキャラコに軍配が上がります。

ストレッチ足袋はポリエステルやナイロンなどの合成繊維でできていて、伸縮性がいちばん高いタイプです。指の間が痛くなりにくいので、外反母趾がある方にもよく勧められています。ただし合繊ならではの青白い光沢が出やすく、フォーマルの白足袋としてはキャラコに軍配が上がるという点は覚えておいてください。カジュアルな着物や、動きの多い日のお出かけには心強い味方です。

色・柄で選ぶ 白足袋と色・柄足袋、それぞれの使い場面

素材の次は色柄です。大丈夫、覚えるのは2つだけ。黒留袖・色留袖・振袖・訪問着・色無地といった正礼装・準礼装には白足袋が鉄則です。冠婚葬祭のようなフォーマルな場では、白足袋を履くことがマナーとされていて、迷ったら白を選んでおけば間違いありません。

一方で、小紋や御召(おめし)、紬(つむぎ)、木綿、ウールなどのカジュアルな普段着には色足袋や柄足袋を合わせても大丈夫です。もちろん白足袋を合わせても問題ありません。おしゃれの幅として、色柄足袋を楽しむ人も増えているんですよ。紬の記事でもお伝えしていますが、格の高さと値段は別の話。足元のおしゃれも、フォーマルかカジュアルかという場の格を軸に考えると迷いにくくなります。

足袋カバーとの違い、洗い方の基本

ところで、足袋とよく似た名前で「足袋カバー」というアイテムがあります。これは足袋の上に重ねて履く、いわば足袋の上着のようなものです。かつて和服で外出するときは、よそのお宅の座敷を汚さないよう「替え足袋」に履き替える礼儀があったそうです。今はその代わりに足袋カバーを使う人が多くなっています。

足袋カバーはストレッチ足袋をさらに薄くしたような作りで、こはぜ付きやゴム口、撥水(はっすい)加工などの種類があります。礼装用の白足袋は汚れが目立ちやすいので、上から足袋カバーを履いておくと安心です。よそのお宅に上がる前に脱げばいいだけなので、扱いもむずかしくありません。冬は防寒アイテムとしても活躍してくれます。雨の日のお出かけでは、足袋カバーがあるとないとで安心感がずいぶん変わるので、雨の日の着物対策もあわせて確認しておくと安心です。


足袋を探すなら、商品ページで素材やサイズ、仕様の説明を確かめてから選びましょう。記事で整理したポイントに照らすと、自分に合うものを見つけやすくなります。


まとめ

足袋選びで見ておきたいのは、サイズ・素材・色柄の3つです。サイズはかかとと指がぴったり収まるものを基準に、素材はフォーマルなら綿キャラコ、動きが多い日はブロードやストレッチ、色柄は場の格に合わせて選ぶ。この順番で考えると、お店で足袋の棚を前にしても迷わなくなりますよ。いろは的おすすめは、フォーマル用の白い綿キャラコを一足持っておくこと。そこにカジュアル用の色柄足袋を少しずつ増やしていくと、着物のたのしみがまたひとつ広がります。保存しておくと安心です。