着物屋さんで「お仕立てにしますか、仕立て上がりでいいですか」と聞かれて、一瞬固まってしまったこと、ありませんか。実はこれ、着物ならではの選択で——洋服にはあまりない発想なんです。結論から言うと、体型と着る頻度で選ぶとぐっと選びやすくなりますよ。この記事を読み終える頃には、自分がどちらを選ぶべきか、判断できるようになっているはずです。
反物から仕立てる着物とは?仕立て上がり着物とは?
着物の「仕立て」とは、反物——布の状態のこと——から着物へと縫い上げることをいいます。日本では元々、今の洋服のような既製品の販売方法がなかったんです。反物を買って仕立て屋さんに頼むか、自分で仕立てるか。着物はもともと、布を買ってから作るオーダーメイドの服だったということですね。
一方「仕立て上がり」は、あらかじめ標準的なサイズで縫い上げられた着物のこと。今すぐ着たい、というときにありがたい存在です。ここだけの話、どちらが優れているという話ではなく、目的によって向き不向きがあるんです。
サイズ・体型への合いやすさの違い
仕立て上がりは万人が着られるように縫製されているので、自分の体にぴたりと合うことは稀なんです。それでも標準体型の方であれば、着丈や身幅に多少の誤差があっても問題なく着られますし、注文後すぐに届くので急な入用のときにも助かります。
体型に合わせたオーダー着物は、体に沿った着こなしになるので着崩れしにくいのが魅力です。細身の方や恰幅のある方の場合、仕立て上がりではサイズが合わないことがある点は覚えておいてください。お仕立てには目安として60日ほどかかるとされ、時期や店舗によって差があります。
サイズ確認では、裄丈(手首までしっかり長さがあるか)、身幅(右脇の縫い目と上前の端が重なるか、背中心が背中の中央にあるか)、身丈(自分の身長と合っているか)の3点を見るのがポイントです。ぴったり合うことは少なくても、許容範囲内なら着付けでカバーできることも多いんです。
価格の考え方と仕立てにかかる期間の目安
価格は反物代とお仕立て代を別々に考える必要があります。既製品の仕立て上がりは在庫からすぐ届く分、選べる柄や色に限りがあることも。オーダーは自分だけの一着になりますが、お仕立てにはおおよそ60日ほど、サイズ直しを含めると最長4か月以上かかることもあるとされているので、着たい日が決まっている場合は早めの相談が安心です。
実はこれ、着物選びで意外と見落とされがちなポイントなんです。「安いから」だけで仕立て上がりを選んでしまうと、あとで裄が短くて困る、というケースも。価格だけでなく、期間と着る予定日を一緒に考えてみてください。
仕立て上がりでも安心できる理由 サイズ直しという文化
サイズが合わない着物でも、プロの技術で直すことは可能です。洋服と違って、着物は構造上、布に余裕(縫い代のこと)が取ってあることが多く、解いて仕立て直すという文化が根付いているんです。仕立て上がりを買って、後からサイズ直しをするという選択肢も十分ありますよ。
仕立て直しでは、お仕立て専門の職人が採寸した情報に合わせて仕上げ、一人の職人が完成まで担うことで縫い目の強さや細かさが統一されます。仕立て上がった後は複数人で検品し、採寸の誤りや汚れ、針残りなどを細かく確認する、という流れが一般的なようです。「サイズが合わないから諸めた」着物も、直せる可能性があると知っておくと、選択肢がぐっと広がりますね。
親や祖母から譲られた着物、リサイクル着物は寸法がバラバラなことが多いのですが、これも同じ考え方でお直しできる場合があります。譲られた着物のサイズ確認については、リユース着物の選び方 サイズ・シミ・臭いの確認手順も参考にしてみてください。
こんな人には仕立て上がりが向いている
標準体型に近い方、急な入用で今すぐ着たい方には仕立て上がりがおすすめです。肩裄を自分でカスタマイズしたり、身丈・身幅の大きすぎる部分を着付けのテクニックでカバーする、という工夫をしている方も多いんです。着付けに慣れてくると、この微調整も楽しくなってきますよ。
こんな人には反物からの仕立てが向いている
細身の方、恰幅のある方、長く着たい紬などを一枚じっくり選びたい方には、反物からのお仕立てが向いています。体に沿った一着は着崩れしにくく、大事な場面でも安心感が違います。ただし60日前後の期間がかかることは、先に予定に組み込んでおきたいですね。
購入前に確認しておきたいポイント
大丈夫、確認するのは2つだけです。ひとつは裄丈・身幅・身丈の3点をチェックすること。もうひとつは、着たい日から逆算して仕立て期間に余裕があるかどうかです。この2つを押さえておけば、仕立て上がりかお仕立てか、迷いにくくなりますよ。
迷ったときは、サイズ直しの可否を専門店に相談してみるのも一つの手です。仕立て直しの詳しい判断方法は、和裁専門の情報も参考になります。
仕立て上がりが向いていると感じた方は、寸法表示のある一枚から見比べてみるとよいでしょう。記事で整理した「すぐ着られる」「裄と身丈の表示でサイズを確かめる」という条件に当てはまります。
まとめ
着物はもともと、布を買ってから仕立てるオーダーメイドの服でした。だからこそ、仕立て上がりとお仕立て、どちらにも向き不向きがあるんです。標準体型で今すぐ着たい方は仕立て上がり、体型にこだわりたい方や長く着たい一着には反物からのお仕立て。そしてサイズが合わなくなっても、直すという文化が着物にはあります。まずは裄丈・身幅・身丈を確認し、着たい日から逆算して選ぶ——これだけ覚えておけば、着物選びで迷うことはずいぶん減るはずです。保存しておくと安心です。
