着物姿で信号待ちをしていて、袖口からすっと風が入ってきてぶるっとした——冬にはよくある場面ですよね。洋服なら厚着すればなんとかなりますが、着物はそう単純にいかないのが悩ましいところ。実はこれ、着る順番と足す場所さえ分かれば、そこまで難しい話ではないんです。
着物が寒いのは首元・袖口・足元の3か所
着物は洋服と違って首元、袖口、足元がもともと開いた作りになっています。すきま風の入り口はこの3か所にほぼ限られるので、闇雲に重ね着するより、まずこの3か所をふさぐつもりで防寒アイテムを選んでいくとぐっと選びやすくなりますよ。この記事では、肌着から足元、首元、羽織りものへと、実際に着る順番で防寒対策を見ていきます。
肌着から順に足す インナーとレギンス、長襦袢
いちばん最初にふれるのは肌の上に着るものです。レギンスやステテコは60〜110デニール程度の厚みのものが扱いやすく、股上が浅めで前開きや脇ファスナーになっているタイプだとトイレのときにも困りません。丈は足首より少し上で止まる長さがおすすめで、裾さばきを邪魔せず、着物の外からも見えにくいんです。
ステテコは薄手で軽やかなぶん、着物のラインを崩さずに使えるアイテムです。一方でレギンスタイプのインナーは足首までしっかり包み込むので、二重足袋や足袋インナーと組み合わせると冬の外出も楽になります。冷え性の人はシルクの薄手とウールの薄手を二枚重ねにすると効率よく暖かさを保てるという助言もあるので、覚えておくと安心です。
ただし、タイツを履いてしまうと足袋が入りにくくなります。タイツを選ぶ場合は足袋を履かず、つま先が分かれていないブーツなどを合わせるのが実用的です。長襦袢の素材選びまで含めた詳しい話は長襦袢の選び方ガイドでも整理していますので、あわせて見てみてください。
足元 足袋の重ね履きと足袋カバー、草履まわり
足元は冷えを感じやすい場所のひとつです。冬用の足袋には裏起毛やネル裏、フリース素材のものがあり、これだけでもだいぶ違います。さらに保温したいときは、足袋の上から重ねて使う足袋カバーが便利で、裏がマイクロフリース生地になったタイプは普段の足袋にそのまま重ねられます。こはぜ(足袋を留める金具)がなく伸縮素材でできたストレッチタイプの足袋カバーも扱われていて、着脱のしやすさで選ぶ人も多いようです。
足元は他の部分と違って「何を何枚重ねるか」が分かりにくいところなので、足袋のサイズや素材、色の選び方まで含めて知っておくと迷いが減ります。足袋のサイズと選び方ガイドにまとめているので、こちらもあわせてどうぞ。東レのヒートフィット素材のような足袋インナーも実務でよく使われていて、足袋カバーと組み合わせる人もいます。
首元と手元 ショールやマフラー、手袋の合わせ方
首元は着物の衿元が命なので、防寒グッズの巻き方ひとつで印象が変わってしまいます。ショールやマフラーはふわっと衿にかぶせるように巻いて、衿元のラインを崩さないようにするのがポイントです。手元は手袋で防寒しますが、着脱のしやすさを考えて、指先が自由に動くタイプを選んでおくと荷物の出し入れなどでもたつきません。
羽織りもの 羽織と道行コートの使い分け
羽織りものは室内で脱ぐかどうかで選び方が変わってきます。羽織は洋服でいうカーディガンに近い感覚のもので、お茶席などの特別な場を除けば室内で着たままでもマナー違反にはなりません。一方で道行などの着物コートは外出専用のアウターという位置づけで、洋服のコートと同じように室内に入る前に脱ぐのが基本です。訪問先では玄関先で脱いでから呼び鈴を押すのがスムーズです。
カジュアルな外出が多いなら、室内でも脱がずに済む羽織のほうが手間がかからず便利です。フォーマルな場に出かける予定があるなら、道行コートも一枚用意しておくと安心できます。羽織と道行コートの違いをもう少し詳しく知りたい方は、それぞれの成り立ちから解説した記事も参考にしてみてください。
静電気と乾燥の小さな対策
冬の着物のもうひとつの悩みが、裾がまとわりつく静電気です。原因は化学繊維同士の摩擦と、空気の乾燥がほとんどです。ポリエステルの着物は長襦袢との摩擦で帯電しやすく、綿や絹など帯電しにくい素材同士を組み合わせるだけでも起きにくくなります。加湿器で室内の湿度を保つのも地味に効果があります。
静電気防止スプレーの使い方については、着物の裏面全体や帯びやすい表面にかけるとよいという見解と、着物本体ではなく着付け前のインナー側にかけたほうがよいという見解の両方があります。どちらの場合も、着物によっては変色やシミの原因になることがあるので、目立たない場所で試してから使うのが安心です。裾よけとレギンスの両方に薄くスプレーする方法もありますが、かけすぎるとかえって逆効果になることがあるので、ひと吹き程度にとどめておきましょう。
肌の保湿も静電気予防になります。入浴後や起床後に、腕や足も含めてクリームを塗っておくと乾燥による静電気を抑えられます。ただしハンドクリームなどが着物に付着すると染みの原因になるので、着付けの前にはしっかりなじませておいてください。洗濯のときに柔軟剤を使うのも、界面活性剤の働きで静電気を抑える方法のひとつです。
着物を探すなら、商品ページで素材やサイズ、仕様の説明を確かめてから選びましょう。記事で整理したポイントに照らすと、自分に合うものを見つけやすくなります。
まとめ 足す順番は肌着から外側へ
冬の着物の防寒は、肌着から足元、首元、そして羽織りものへと外側に向かって足していくのが分かりやすい順番です。すきま風の入り口である首元・袖口・足元を先にふさいでおけば、残りは好みで調整するだけで済みます。ステテコやレギンス、足袋カバー、羽織と道行コートの使い分け、そして静電気対策の小さな工夫。ひとつずつは難しくないので、寒い朝も安心して着物で出かけてみてください。
