「着物のクリーニングって、丸洗いと洗い張り、何が違うの?」——実はこれ、着物初心者さんがよくつまずくポイントなんです。どちらも「洗う」という意味では同じですが、方法も得意な汚れも料金も、まったくの別物。この記事で、いろはと一緒に整理していきましょう。

🌸 まずここを見る(10秒版)

丸洗いは着物を解かずに丸ごと洗う方法で、油じみに強め。洗い張りは糸を解いて反物に戻してから水洗いする方法で、古いシミやカビ、生地のくたびれに強い方法です。料金は洗い張りのほうが高めになりやすく、お店によって差も大きめです。

丸洗いと洗い張り、何が違うの?

洋服にたとえるなら、丸洗いは「ドライクリーニング」、洗い張りは「一度ほどいて仕立て直す、着物ならではの本格ケア」というイメージです。

図1 丸洗いと洗い張りの違い
観点 丸洗い 洗い張り
やり方 着物を解かずに、溶剤でまるごと洗う 糸を解いて反物の状態に戻し、水洗いしてから仕立て直す
得意な汚れ ファンデーションや食事の油じみなど、油性の汚れ 汗じみ・古いシミ・カビなど、水性の汚れや時間が経った汚れ
仕上がり 手軽。短時間で済む 生地がパリッと蘇る。サイズ直しも同時にできる
料金の傾向 比較的おさえやすい 手間がかかる分、高めになりやすい
🌸 ここだけ覚える。普段の汚れは丸洗い、古いシミやカビ、仕立て直しをともなうケアは洗い張り。この使い分けだけ知っておけば大丈夫です。

料金の目安(お店の実例で紹介)

着物クリーニングの料金は、お店によってかなり幅があります。「相場はいくら」と一言で言うのが難しいので、実際のお店の料金表を3つ並べてご紹介しますね。

図2 着物クリーニング料金の実例(2026年7月時点)
お店 丸洗い(訪問着クラス) 備考
きものしみぬき専科 7,700円 振袖8,800円・浴衣3,300円。洗い張りは訪問着13,200円〜
白洋舍(きもの和洗) 13,200円 留袖14,300円・ゆかた6,820円
丸十(大阪の呉服専門店) 5,500円 振袖・留袖は7,700円。呉服の販売や着付け教室もあわせて行うお店です

※各社公式サイトの掲載料金(2026年7月確認)。着物の素材・状態・特別な加工の有無で変わるので、依頼前に見積もりの確認をおすすめします

ご覧のとおり、同じ「丸洗い」でも料金にはかなりの差があります。理由はお店の規模やサービスの手厚さ、地域などさまざま。金額だけで選ばず、口コミやシミ抜きの実績もあわせてチェックするのがいろは的おすすめです。

絞りや藍染めは、とくに専門知識がものを言う

特に気をつけたいのが、絞りの着物と藍染めの着物です。絞りは、生地の凹凸を保ったままシミを落とす必要があり、高度な職人技量と時間が求められます。実際、絞りは洗い張りに対応していなかったり、シミ抜きを断られてしまったりすることも珍しくありません。藍染めも、堅牢度(色の定着のしやすさ)が低く、色移りしやすい染めもの。うっかり漂白剤を使うと化学反応で変色したり、生地が傷んでしまったりすることもあります。

こうした専門的な知識が必要な着物こそ、呉服の販売や着付けまで手がける呉服専門店に相談すると安心です。着物の素材や柄に応じた扱いを知っているぶん、トラブルを避けやすくなります。迷ったときは、普段からお付き合いのある呉服専門店に相談してみるのもおすすめです。

どのくらいの頻度で出せばいい?

  • 普段よく着る着物(小紋・紬(つむぎ)など) — 毎回出す必要はありません。1シーズンに1回、衣替えのタイミングでまとめてクリーニングに出すのが目安です
  • 着る機会が少ないフォーマル着物(振袖・留袖・訪問着など) — 次にいつ着るか分からないことが多いので、着るたびにクリーニングへ出すのがおすすめです

汗や皮脂は目に見えなくても付いているもの。「今回はきれいに着られたから大丈夫」と思っても、フォーマル着物は油断せずに出しておくと、次に袖を通すときに安心です。

シミを見つけたら「すぐ」が合言葉

着ている途中や片づけのときにシミを見つけたら、シーズンの終わりまで待たないでください。時間が経つほどシミは落ちにくくなり、シミ抜きの料金も上がってしまいます。気づいたその日のうちに、お店へ相談するのが理想です。

よくある質問

Q. 毎回、丸洗いに出したほうが安心ですか?

A. 普段着の着物なら、毎回でなくて大丈夫です。1シーズン1回を目安に、衣替えのタイミングでまとめて出すので十分とされています。

Q. どちらのお店を選べばいいか迷います

A. 料金だけでなく、シミ抜きの実績や対応の丁寧さも比べてみてください。大切な着物ほど、専門知識のあるお店を選ぶと安心です。

Q. 自分でシミを取ってもいいですか?

A. おすすめしません。自己流のお手入れは、かえって汚れを広げてしまうことがあります。シミを見つけたら、まずはお店に相談してください。

まとめ

  • 丸洗いは油性の汚れに強い手軽なケア、洗い張りは古いシミ・カビ・仕立て直しに向く本格ケア
  • 料金はお店によって差が大きいので、見積もりの確認がおすすめ
  • 普段着は1シーズン1回、フォーマル着物は着るたびにクリーニングへ
  • シミは見つけたらすぐ相談。時間が経つほど落ちにくくなります

クリーニングのあとは、正しい保管も忘れずに。たとう紙や防虫剤を使った保管方法はこちらの記事でくわしくご紹介しています🌸

着物の種類や格の基本から確かめたい方は着物の種類と格の早見表もどうぞ。

クリーニング・保管・雨対策など着物のお手入れ全般は着物のお手入れ・保管ガイドにもまとめています。