花火大会の帰り道、下駄の裏が泥だらけになって「これ、洗っちゃっていいのかな」と立ち止まった経験、ありませんか。結論からいうと、下駄も草履も水でじゃぶじゃぶ洗うのは苦手なものが多いんです。素材によっては水に濡れただけで型崩れして、元に戻らなくなることもあります。まずは自分の下駄・草履がどのタイプなのか、見分け方から一緒に確認していきましょう。
下駄や草履、汚れたらじゃぶじゃぶ洗っていいの?
着物や浴衣のお手入れというと「洗う」が基本のイメージがあるかもしれませんが、下駄・草履はちょっと事情が違います。台の素材、鼻緒の素材、それぞれによって水との相性がまったく違うんです。ここを知らずに水洗いしてしまうと、シミや反り、型崩れの原因になってしまいます。まずは台の仕上げから見ていきましょう。
まず見分けたいのは「台の仕上げ」
白木仕上げ(削り出したままの木肌)は水がいちばん苦手
塗装をしていない白木の下駄は、木そのものの風合いを楽しむ仕上げです。桐下駄もこの仲間で、水気を嫌う性質があります。鼻緒に汚れが付くと染みになったり形が崩れたりすることもあるので、なるべく水に濡らさないようにするのが基本です。もし濡れてしまったら、固く絞った雑巾で拭いてから風通しのよい場所で乾燥させてください。日光に当てると変色したり木材が割れたり反ったりすることがあるので、必ず陰干しにします。まめに乾拭きしておくと、足跡や汚れそのものが付きにくくなりますよ。
使い込んで足跡が気になってきたら、240番前後の紙やすりで表面を軽く研磨する方法もあります。ただ、天板に薄い経木が張られているタイプは削りすぎると経木ごと剥がれてしまうので、様子を見ながら少しずつ削るようにしてください。
塗装した下駄(クリア塗・黒塗・焼塗)は拭き洗いができる
クリア塗や黒塗、焼塗などしっかり塗装された下駄は、白木よりも水との相性がよいほうです。ぬるま湯で軽く湿らせた布で拭くのが基本で、汚れが落ちにくいときは中性洗剤を薄めて軽く湿らせた布で拭くとよいとされています。とはいえ水にじゃぶじゃぶ浸けるのではなく、あくまで「拭く」延長という感覚で扱うのが安心です。
焼き色の下駄はメンテナンスフリーが前提
木肌に焼き色をつけただけの下駄は、そもそも手をかけずに使うことを前提に作られています。拭くとかえって焼き色が落ちてしまうことがあるので注意が必要です。一方で、焼き色の上から塗料が塗られているタイプなら水拭きしても問題ありません。見た目が似ていても中身が違うので、購入時の説明を思い出せると安心ですね。
畳表・草表の下駄や草履は「濡らさない」が鉄則
南部表や野崎表といった名前がついた畳表、竹皮を編んで作られる草表は、水に濡れるのが最大の弱点です。竹皮や筍の皮を編んで蒸し圧縮したり整形・乾燥させたりして形を作っているため、水気を含むと繊維がふやけて膨張し、型崩れを起こします。一度型崩れした畳表・草表は、修理では元に戻らないことがほとんどです。雨の日は履かないようにするのがいちばんの予防で、万が一濡れてしまった場合は水分を拭き取ってからゆっくり陰干しするしかありません。
鼻緒の素材別、拭き方のコツ
花緒(鼻緒)が濡れてしまったときも、台と同じく風通しのよい日陰でよく乾かすのが基本です。汚れは柔らかいブラシで落とし、ぬるま湯で絞った布で優しく拭きます。生地によっては染料が滲むこともあるので、まずは目立たない箇所で試してから全体を拭くようにしてください。
表面に光沢があり濡れてもシミになりにくい革の鼻緒は、少量のクレンジングクリームを薄く塗って拭き取る方法があります。革は水拭きよりもクリームでのお手入れのほうが相性がよいので、覚えておくと便利です。
織り地の草履はブラシでほこりだけ
佐賀錦などの織り地でできた草履は、ガード加工がしてあるもの以外は水拭きをしないのが基本です。毛の柔らかい小さなブラシでほこりを払い落とす程度にとどめておきましょう。また草履は底が革でできているものも多く、濡れると水分を含んで接着剤が剥がれやすくなることがあります。畳表の草履と同じく、雨の日はできるだけ避けたい履物です。
それでも濡れてしまったときは
どんなに気をつけていても、急な雨や水たまりで濡れてしまうことはありますよね。そんなときは、まずよく水分を拭き取り、立てかけて陰干しします。表面が乾いていても中はまだ湿っていることがあるので、見た目だけで判断せず、時間をかけてしっかり乾かすことが大切です。半端に乾いた状態でしまうと、後からカビや型崩れにつながることもあります。
脱いだ後の日常的なお手入れや保管方法については、下駄のお手入れ方法|脱いだ後のひと手間から保管・鼻緒修理までで詳しく整理しています。あわせて、そもそも下駄と草履のどちらを選ぶか迷っている方は下駄と草履の違いって?浴衣・着物での選び方をやさしく整理も参考にしてみてください。
下駄と草履を探すなら、商品ページで素材やサイズ、使い方の説明を確かめてから選びましょう。記事で整理した違いに照らすと、自分に合うほうを見つけやすくなります。
まとめ 洗うより「濡らさない」が下駄・草履の合言葉
下駄も草履も、種類によって水との付き合い方がまったく違います。白木は水を避けて陰干し、塗装ものはぬるま湯や中性洗剤で拭き洗いができ、畳表や草表・織り地は基本的に水を寄せ付けないというのが今回のポイントでした。冒頭の「洗っちゃっていいのかな」という迷いには、こう答えられます。台の仕上げを見極めて、洗うというより濡らさない・濡れたらすぐ拭いて陰干しする、という付き合い方をしてあげてください。それだけで、下駄や草履はぐっと長持ちしてくれますよ。
