帯締めを結ぼうとしたとき、「あれ、これで合ってたかな」と手が止まったことはありませんか。いろはも着付けを覚えたての頃、本結びしか知らなくて、写真で見た素敵な結び目を真似できずに悩んだことがあるんです。帯締めの結び方は、実は本結びと叶結びだけではありません。今日は本結びを基本に、そこから広がる結び方の種類と、それぞれどんな場面で使われているかを、ひとつずつ一緒に見ていきましょう。

結び方で変わるのは「格」より「印象」なんです

ここでひとつ、知っておくと安心なことがあります。帯締めの格——つまり着物のフォーマル度との対応——は、実は結び方ではなく組み方で決まるんです。平たく組んだ「平組」、丸く組んだ「丸組」、細い「三分紐(さんぶひも)」など、組み方の種類によってフォーマルかカジュアルかが分かれます。結び方そのものは、どちらかというと見た目の印象や着姿の雰囲気を変えるためのものと考えるとぐっと選びやすくなりますよ。帯締めと帯揚げの格や色合わせの基本をまとめて知りたい方は、帯締め・帯揚げの選び方 格と色合わせの基本も参考にしてみてください。

本結びの基本

帯締めの結び方といえば、まずはこの本結びなんです。左右の紐を交差させてきゅっと締め、もう一度からめて仕上げる——シンプルだけれど、ほどけにくくて見た目もすっきりまとまる結び方です。フォーマルな場面でもカジュアルな場面でも使える、いわば帯締め結びの「基本のき」。迷ったらまず本結びを覚えておけば大丈夫です。

ちなみに「筆結び」という言葉で検索する方もいるようですが、実際には本結びを指しているケースが多いそうです。呼び方が違うだけで同じ結び方、ということもあるんですね。

本結び以外の結び方の種類

本結びに慣れてきたら、ちょっと違う表情を楽しんでみるのもおすすめです。

寿結びは、本結びとよく似た形なのですが、房が上向きになるのが特徴です。結び目が下から上へ向かう流れになることから、縁起のよい結び方として親しまれています。

一文字結びは、房を内側にしまい込んで、紐が一文字のようにまっすぐ見える結び方です。帯締めの長さが少し短いときに重宝する結び方でもあるんです。

ただし、ここで大事な注意点があります。寿結びと一文字結びは、平たく組んだ「平組」の帯締めのときに限られる結び方なんです。丸組や三分紐では同じようにはいかないので、挑戦する前に手元の帯締めがどんな組み方か確かめておくと安心です。

もうひとつ、振袖のときによく使われるのが藤結び。きりりと引き締まった印象になる結び方で、成人式などの華やかな装いによく合います。振袖の帯締めアレンジとしては、このほかにも玉結びやリボン結びなど遊び心のあるものがたくさんあるので、気になる方は成人式準備の記事もあわせてチェックしてみてください。

叶結びが使われる場面

さて、今回のタイトルにも入っている叶結び。実はこれ、帯締めの結び方としてはかなり珍しい部類に入るんです! 羽織紐——羽織の胸元につける飾り紐のことです——の結び方としてはよく見かけるのですが、帯締めで叶結びにしている方はあまり多くありません。呉服店の実例でも「帯締めでは初めて見た」という声が紹介されているくらいなんです。

叶結びという名前は、結び目を表から見ると「口」の形に、裏から見ると「十」の形に見えることから来ているといわれています。口と十を合わせて「叶」という字になる、というわけなんですね。覚えておくと、誰かに話したくなる小さな豆知識になりますよ。

というわけで、もし帯締めを叶結びにしてみたいと思ったら、それは定番というよりアレンジとして楽しむものと捉えておくのがよさそうです。羽織紐で見慣れた結び方を帯締めに取り入れると、ちょっと個性的でおしゃれな印象になりますよ。

場面による結び方の選び方

ここまでの結び方を踏まえると、選び方の軸は意外とシンプルです。まず迷ったら本結び。縁起を担ぎたい慶事なら寿結び。帯締めが短くて困ったときは一文字結び(どちらも平組限定)。振袖で華やかに決めたいなら藤結び。そして、ちょっと個性を出したいときのアレンジとして叶結び、という並びで考えると覚えやすいと思います。

結び目を作ったあとは、余った房の扱いも意外と大事なポイントなんです。慶事では下から上へ、弔事では上から下へ房を差し込んでおくのが基本とされています。結び方だけでなく、こうした房の向きまで気を配ると、着姿全体がぐっと整って見えますよ。房がほつれやすくて気になる方は、帯締めの房がほつれる・広がるのはなぜ?直し方と予防のコツも保存しておくと安心です。


帯締めを探すなら、商品ページで素材やサイズ、仕様の説明を確かめてから選びましょう。記事で整理したポイントに照らすと、自分に合うものを見つけやすくなります。


まとめ

帯締めの結び方は、本結びと叶結びの2つだけではなく、寿結び・一文字結び・藤結びなど、場面や帯締めの素材によって使い分けられる種類があります。格を決めるのは組み方、印象を決めるのは結び方——この違いを覚えておくだけで、今日からの帯締め選びがずっと楽しくなるはずです。まずは本結びをしっかりマスターして、気分や場面に合わせて少しずつレパートリーを広げてみてください。