卒業式に袴を着せると決めたものの、レンタルサイトを開くと「紋付袴」「羽織袴」と呼び方の違う商品が並び、黒一色のものから茶色やクリーム色のものまで色柄もさまざまで、どれを選べばいいのか迷う保護者は少なくありません。しかも「紋付」と聞くと黒一色の着物を思い浮かべますが、実際に小学生向けの商品を見ると、紋の入った茶色やクリーム色のものも普通に並んでいます。ここで呼び方を一度整理して、順番に確認してまいりましょう。

結論から申し上げますと、小学生の卒業袴で迷いどころになるのは、黒の紋付羽織袴にするか、色柄の羽織袴にするかという選び方です(衣暦編集部の見立て)。小学校の卒業式では紋が入っていても色柄のあるものが主流で、黒一色にこだわる必要はありません。

紋付羽織袴と羽織袴、呼び方の整理

紋付羽織袴は、紋の入った着物と羽織に袴を合わせた礼装で、「紋付袴」はその略称です。一方の「羽織袴」は羽織と袴の組み合わせ全般を指し、紋の無いものも含みます(衣暦編集部の見立て)。紋が入ると格式が上がるため、紋付羽織袴は結婚式や式典など改まった場で着用されることが多いとされています。レンタルで紋の入ったものを選ぶ場合は「通紋」と呼ばれる模様が入っていることが多く、これは特定の家の家紋ではなく、礼装用に使われる汎用の紋様です。

大人の男性の紋付羽織袴は、着物と羽織に家紋が入っているのが最大の特徴です。最も格式が高いのは、黒無地の着物と羽織に五つ紋を入れ、仙台平と呼ばれる縞の袴を合わせた装いで、これが男性の正礼装です。紋の数でも格が変わり、五つ紋・三つ紋・一つ紋の順に格式が下がります。

ただし、卒業式は正礼装が求められる場ではなく、大人でも準礼装で臨むのが一般的です。小学生の卒業式でも、大人の最上格と同じ装いをそろえる必要はありません。ここ数年は袴で卒業式に出る男の子も増えていて、黒の紋付だけでなく、色柄の羽織袴を選ぶご家庭も多くなっています。

小学生の卒業式では、どんな色柄が選ばれているか

実際にレンタル店の商品ラインナップを見ると、「紋付袴」として扱われる小学生男児向けの商品にも、黒一色ではないものが多数含まれています。紺と黒のぼかしに柄袴を合わせたもの、茶色に矢絣(やがすり)柄の袴を合わせたもの、鼠色の縞に花菱模様の袴を合わせたものなど、組み合わせは豊富です。

別のレンタル店でも、茶色の紋付に黒袴、クリーム色の紋付にモカベージュの袴、オリーブグリーンの紋付にベージュの袴といった商品が並んでいます。紋が入っていても、色柄は子ども向けに幅広く用意されていることが分かります。紋付だから黒でなければならない、という考え方は、少なくとも小学生向けのレンタルには当てはまらないようです。

学校行事で浮かないための考え方

ここまでの内容を踏まえると、卒業式での袴選びは、黒の紋付羽織袴で大人の正礼装に寄せるか、色柄の羽織袴でお子さんらしさを出すかを先に決め、色柄を選ぶなら「紋が入った準礼装の範囲で、お子さんに似合う色柄を選ぶ」という考え方が自然です。

そのうえで、羽織や袴の色柄は学校やクラスの雰囲気によっても印象が変わります。お立場・地域によって変わる部分ですので、担任の先生からの案内や周囲の様子をひと言確認しておくと安心です。写真に残る一枚になりますので、お子さん自身が気に入った色を選んであげるのも良い選び方です。

女の子の卒業袴については、小学生の卒業式の袴、女の子はいつから何を決める?で別にまとめています。

当日の動きやすさとトイレ

保護者の方が心配されやすいのが、トイレです。袴には、スカートのように裾がつながった行灯袴(あんどんばかま)と、ズボンのように股で分かれた馬乗袴(うまのりばかま)の2つの作りがあり、小学生向けのレンタルで用意されている男の子の袴は、ほとんどが行灯袴です。どちらの作りかで、トイレのときの扱いが変わります。

着物や袴の裾をどう持ち上げて、どう戻すかは、袴の作りと着付けの仕方で変わります。女性の袴の手順がそのまま当てはまるわけではないので、手順は、着付けのときにお店の方に、実際に着る袴で教えてもらうのが確実です。宅配レンタルなら、届いた箱に案内が入っていることもあるので、先に目を通しておきましょう。

教わった手順は、当日より前に、家でお子さんと一緒に一度やってみておくと安心です。本番の会場で初めて試すより、ずっと落ち着いて動けます。

予約はいつから動くか

レンタル店の案内によると、多くの店舗では卒業年度の4月頃から袴レンタルの予約を開始し、8月から9月にかけて予約が集中する傾向にあります。別の店舗では5月頃から予約が徐々に増え、7月から9月にかけて混雑するとされています。店舗によって時期の目安は多少異なりますが、夏場に予約が集まりやすい点は共通しています。

気に入った色柄を確保したい場合は、夏の混雑期より前に候補を決めておくと安心です。予約の流れをもう少し詳しく知りたい場合は、卒業袴の予約時期とレンタルの流れもあわせてご覧ください。


小学生の男の子向けの紋付羽織袴を、フルセットの宅配レンタルで借りられます。サイズは身長130〜155cmが目安です。卒業式の予約が混む前に、色柄とサイズを一度確かめておきましょう。


まとめ

小学生の卒業袴で迷いどころになるのは、黒の紋付羽織袴にするか、色柄の羽織袴にするか、という選び方です。小学校の卒業式では準礼装が主流で、紋が入っていても茶色やクリーム色など色柄豊富なものが多く選ばれています。トイレは袴の作りで扱いが変わるので、着付けのときにお店で教わり、家で一度試しておくと安心です。予約だけは夏前に動いておくと落ち着いて選べます。……と、ここまで手順を申し上げましたが、いちばん大切なのは、お子さんが自分の袴姿を鏡で見て嬉しそうに笑う、その瞬間です。卒業式が、親子にとって良い一日になりますように。